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文芸部

2020.06.10

文芸部

第5回 リレー小説

こんにちは。五番目はこの椋が担当致します。
宜しくお願いします。

リレー形式は初めてですが、面白いですね。先の展開、自分でも説明の出来ぬ矛盾やその先の展開を、他人に押し付ける感覚が癖になりそうです。というのは冗談で。
結構責任感が重くありました。私の解釈違いで前の四人分の内容理解に誤りがあって、物語に齟齬をきたしては大変だし。
それにこの次の方に重荷を乗せてやる訳にもいきません。調整が大変でした。大丈夫でしょうか。

二年生にとっては初めての試みです。部員全員でがんばりましょう!(^▽^)o
そして新入部員も募集中ですよ。是非!

────────────────────

「瑞樹、本当に暗い顔だぞ。ゆずがどうしたんだ?いつも通りのゆずじゃないか」

と言って亮さんは僕の肩を組んでくる。

「いや、顔色が…」「ゆず!俺たち、ちょっと外出てもいい?」
「外?亮兄、なんで外に?」
「ずっと地下室の中は、さすがに答えるからっさ。外に出たいな。それに…」「だめ」

「え?」
「だめ。絶対だめ!危ない!!」

外に出たいという亮さんの提案を、柚月は凄い早さで跳ね除けた。その形相は穏やかとは言えず、僕は再び体が強ばるのを感じた。

しかし亮さんはそんな僕を他所にペースを崩さない。

「…分かった。だけどね、男には男の話があるんだよ。じゃ瑞樹くん、朝風呂といきますか!」
「え?」
「俺と風呂。嫌?いいじゃんここは裸の付き合いと洒落こもうじゃんかよ。」
「全然洒落てないし…」
「もー、面倒臭いなぁ。どうせ近々俺に『柚月をください、お義兄様』って言うことになるんだよ?ここで親睦をだなぁ…」
「絶対嫌です!!」
ーーそう、絶対に…

「いい湯だな!」
「ゼンッゼン!」

なのに結局、こうなるのかよ!?やはり、亮さんのようなタイプの人間には敵わない。マイペースな人間は二種類いて、亮さんは多分そのうちの少数派。自分のペースに、相手すら上手く巻き込むことが出来るタイプ。惚けた顔してポテンシャルが高い、何かとムカつく奴なのだ。
「ああ、男とふたり…寒気しかしない…」
「うは。こんなに熱いお風呂なのに?」
「ちょ、ふざけないでくださ」「静かに」

「…亮さん…?」

亮さんを纏う空気が変わった。別の寒気に襲われて、僕は背を丸めた。えも言われぬ違和感に、ただそうするしか無かった。
「あれは、ゆず、なんかあったと思う。」
「え?ああ、そう…っすね。まさかこの風呂、それを言うために?」
亮さんは静かに頷いた。そして湯船から上がり、シャワーを全開に捻って、再び湯船に戻ってくる。ジャーッと、シャワーの水が壁や床に打ち付けられる音が響いた。
「なんでシャワー…」
「ノイズだ」
「ノイズ…?」
「今から話すことを、外に聞かれないため、さ。」

「あの部屋に…違和感とかなかった」
「はぁ…」
「なかった?君に聞いてるんだよ」
「え、あ、はい、得には…だって快適な場所だし、避難壕としては最高ですよ」
「空中都市の次は、地下都市かなぁ、あはは。」
「亮さん!からかわないで!何が言いたいんです!?」
痺れを切らしてそう噛み付く僕とは目も合わせず、亮さんは続けた。
「ごめんごめーん。じゃ、真面目な話、いくよ。俺は感じたんだ。違和感。」
「だってさ、変だよなぁ。俺たちが自分の家族に連絡して安否を確認するのは不思議じゃあない。」
「でもゆず…柚月な、あれは違うだろう。だって彼女の家なんだから。彼女が家族の安否を電話で探るのも、そもそもこの大事で一家が一人たりとも帰ってこないって、それは違うだろう。」
「違う?」
「おかしいねって話しさ。」
僕は相変わらず亮さんの顔を見る。まあ酷い顔をしていると思う。しかし亮さんはやっぱりそれには答えない。こっち見ろよ。あんた、今自分が何を言ってるのか分かっているのか。
「亮さん…柚月を疑ってるんですか?柚月は、亮さんのいとこですよね?まさか、テロの首謀者だと?」
「ははは。そんなの、馬鹿らしい。馬鹿らしいじゃあ無いですか。亮さん。」
僕は無理に取り繕ったような(まあ実際そうなのだが、)そんな笑顔を亮さんに送った。乾いた笑い声が風呂場を泳ぎ、シャワーの雑音の中で、消えた。亮さんは続ける。
「何も柚月だけじゃないさ。この一家を疑っているんだよ。一番怪しいのはやはり、この準備の良さだ。地下室…ただ真下に掘った防空壕というわけではなく。数日間は暮らせる程度に色々と揃っている。」

「それは!亮さん、言ってたじゃないですか。柚月の父親が占い師に言われて、作ったものだって…」
「だが俺もそれは柚月の父親から聞かされた話」

「本当は占い師なんかいなくて、柚月の一家皆で口裏合わせて存在しているかのように話していたっておかしくないんだぞ」
「…そんな、」
「さっき頑なに柚月は俺たちがこの地下室から外へ出ることを恐れていた。外が危険だとなぜ言いきれるんだ?あの楽観的な柚月が、あそこまで恐れるのはなんだ?」

「恐ろしい話…憶測に過ぎないんだが…落ち着いて聞いてくれ。」

「この地下室はノアの方舟で。外ではもうすぐにでも大洪水が起きるんじゃないかって話しさ。」

ノアの方舟…確かうろ覚えだが、旧約聖書に出てきたやつだ。
神は人間の低落ぶりに怒り、地球上の全種類の動物達と、信仰心の厚く誠実な人間ノアとその家族のみを方舟に乗た。そして他の地球上にいる愚かな人間は洪水を起こしてキレイさっぱり。リセットしてしまったという話だ。

ーーしかし今、そんなことが…

「そんなことが…起こるってことですか、」
「うん…空中都市の爆破はその全てに非ず。序章に過ぎないかもしれないってわけさ。」
「この日本で何か起こるかもしれないってわけ。分かるか?」

わかるも何も…爆発以上のことが計画されているんだとしたら、ゾッとする。それにそれが柚月の父親達の手のひらで温められているんだとしたら尚更だ。恐ろしい…僕はそれが恐ろしい…

「金持ちだけが住める空中都市。そう、あそこに住めるのは金持ちだけ…

この日本に、格差社会が…階級社会が生まれている。その象徴があの空中都市だった。

『平等』の崩壊。空中都市に住む上級国民以外の、俺たちのような一般の人間は、誰しも昔に戻ればと欲しいと思っていたよ。
誰もが平等に平地に住む、昔の世界に…」
「動機としては十分だ。いつの時代でも、どこの国でも。いつも不満と共に、革命は起こる。」
「そんな!柚月は普通の女の子なのに。カラオケがあれば、それだけでいいって…空中都市の人間を恨んでなんかいなかったし、それに僕も…」

「…子供は、親を選べないからな。」

そこまで言って、亮さんは湯船からあがった。僕は彼の背中を見つめた。今までの彼のそれではなかった。
「亮さん、どうするんですか」
「決まってるだろー?もし俺の仮説が正しかったら、それを止められるのはゆずだけだ。」

「ゆずと話そう。俺の名前、教科書に載せたいしさ。」

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