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文芸部

2017.11.09

文芸部

リレー小説 第2回

襟先エンデバーと申します。
初リレー小説は想像以上に難しかったです。

+++

 普段聞く事の無い生徒会長の大声に、意識とは別に肩が跳ねる。
 我が校の生徒会長と言えば、みんなを盛り上げることが得意な、人気者のイメージが強いのに。声を荒げて、辞めたいだなんて。
 …もしかして何かあったのだろうか。
 そっと息を潜めて聞き耳をたてた。

「いや、行けますって。ガンバってください。」
「あんた、ほんと自分のことじゃないと適当だね?!」
「みんなからの支持集めたいっすよね?」
「それ言えば私が何でも言う事聞くと思ってるでしょ!」

 何やら揉めているらしい。
 本気じゃないみたいだし、邪魔しちゃ悪いし。明日また来ようかな。
 ドアを叩こうとした右手を下ろし、来た道を戻ろうとした途端。

「はい、じゃあもう僕何も知らないんで、一人で頑張ってください。さよな、うわ!」

 鼻先を勢いよく開いたドアが掠める。
 思わず後ずさったから良かったものの、あと数秒遅かったらどうなってたか……。
 体から力が抜けて、その場にぺたんと座り込んだ。

「ごめんなさい! 人がいるなんて知らなくて!」
「だ、大丈夫ですよ。びっくりしたけど…。」
「あれ、藤野さんだ。どうかしたの?」

 首を傾げる生徒会長。
 私の名前、覚えてるんだ……。

「あ、そうだ。藤野さん。お詫び兼ねてちょっと話聞いてくれない? お菓子出すから。」
「罪のない同級生を巻き込む気っすか!」
「そんなことないって、ね? 藤野さんは良いよね?」
「えっと、はい。大丈夫です。暇ですし」

 それに生徒会長に聞きたい事があってここに来た訳だし。
 生徒会長に背中を押されるまま、生徒会室に足を踏み入れる。

「断っても良いんすよ……?」
「大丈夫ですよ。」
「ほらほら、書記くん! お茶出して!」
「はいはい」

***

「なるほどね。校舎の立て直しと時計台について聞きに来た訳ね。」
「はい。変な噂もありますし、どうなのかなって思って。」
「……ちょうどいいんじゃないんすかね。」

 書記の男子生徒の言葉に、生徒会長の目が見開かれた。

「え、行かせる気? 藤野さんに? 一人で?」
「なんで一人なんすか。そこは、頼まれた会長が一緒に……。」
「待って待って。私、行くって言ってない!」
「え、だって会長。夏場になると馬鹿みたいにホラー映画ばっか見るじゃないすか。」
「いや!スプラッタはいけるけどホラーは無理!」
「藤野さん! 会長に何か言ってやってくださいよ!」
「えっ、と。何の話ですか……?」

 生徒会長はため息をついて、口を開いた。

 どうやら学校に広まった噂は、一部の生徒の好奇心をくすぐってしまったらしい。
 最近夜中に学校に忍び込んだり、隠れて残る生徒や、時計台に入ろうとする生徒が後を絶たないそうだ。
 生徒代表である生徒会長が、先生に言い渡されたのは、その注意喚起、そして見回り。

「見回り!?」
「最終下校前に生徒がいないか探しに行くだけっすよ。」
「だけって言うならあんたが行けよ〜!」
「僕、忙しいんで。」
「それで私は何をすれば?」

 書記さんと生徒会長は顔を見合わせて、お互いを指差した。

「「こいつと最終下校前に校舎回ってほしい。」」

***

「は?肝試し?」

 荷物を担いで、さあ帰るかと下駄箱に向かう途中で友人に捕まった。
 あいつだ。沙夜香のことがどうしてか好きらしい同級生。

「ほら、時計台の幽霊の話。お前も知ってんだろ?」

 ぱちん、と手を合わせて友人は頭を下げる。

「頼む! 一緒に行ってくれ!」
「断る。」
「俺とお前との仲だろ〜!」

 泣きそうな弱い声に反してしっかりと腕を掴まれた。
 逃さないぞという意思が明確に感じられる。

「はぁ……。何で行かなきゃいけないんだよ。」
「度胸試しっていうか、ほら……あれだ、あれだよ。思い出作り! お前との思い出を残したいんだよ!」
「本音は?」
「クラスの女子に証拠写真撮ってくるって言っちゃった。」
「却下。はい一人で頑張れ。」

 人でなし〜! と叫ぶ声が聞こえるが知ったこっちゃない。
 ずり下がった鞄を背負い直して、下駄箱へと向かう。

「〜〜っ! もう! いい! 藤野の秘密大声で言うから!!」

 捨て台詞にしては中々物騒な言葉に思わず振り返った。
 廊下で喋っていた何人もの視線が、こちらを向く。
 いやいや。俺、お前に教えた秘密なんてないし。
 ……え? 無いよな?

「藤野は! 実は!」
「わ!こら! 静かにしろ!」
「実はーー!!」
「わかった! わかった! 一緒に行ってやるから!」

 何言われるか溜まったもんじゃない!
 俺から理想通りの言葉を引き出せた友人は、悪い顔をしてニヤリと口角を上げた。

「言ったな?」
「……わかったよ。」

 しょうがなく頷けば、友人は勝手に俺の手を掴み、ハイタッチをする。

「言ったからな! 絶対約束守れよ!」
「ういっす。」

 ご機嫌にスキップをして下駄箱へ向かう背中に、なあ、と声をかけた。

「おん?」
「さっき言ってた、俺の秘密ってやつ。ハッタリ?」
「いや、違うけど。」
「うん!?」
「俺、お前のとっておきの秘密知ってるよ。」
「は?」
「これはまたとっておきの時に使うから!」

 この後追いかけっこが始まり、風紀委員に見つかって怒られたのは言うまでもない。

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