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文芸部

2017.12.13

文芸部

リレー小説 第5回

御無沙汰しております、何故かテスト後にブログ担当の多い長月です。

トリビアですが、長月(九月)頃はフランスの革命暦(フランス革命中に使われていた暦法)だと『fructidor』フリュクティドール(実月)と言うそうです。なんてトレビアン。

◇◆◇◆

「きゃあ!」
曲がり角で女の子とぶつかるシチュエーション。それが夜遅い校舎でなければ。
そしてぶつかる相手が家族でなければ。
「智志……?」
「沙夜香………?」
なんで。どうして沙夜香がここに。
「なんで…?どうして智志がここに…?」
さすが双子。
「いやー、ちょっと友達に頼まれ事してて」
「ふぅん?」
沙夜香は自分から聞いたくせに興味なさそうに答えた。
「そういうお前は?」
「私は生徒会長を待ってたの。会ってない?」
「いや。でも、なんでまた」
なんだか今日は生徒会に縁のある日だ。
「それが、あの…」
沙夜香は言いにくそうに、しかし一気に言い放った。
「あと十分!あと十分待って生徒会の人が誰も来なかったら、私、一人で校舎をまわらなくちゃいけないの。頼まれ事が終わったらついてきてくれない?」
「……」
ひとつ屋根の下、私生活を共にしない俺の唯一の兄妹。そんなこいつが今にも泣き出しそうな目で俺の返事を待っている。
「……分かった。ちょっと時計塔まで行ってくるだけだから。ここで待ってろ」
「うん。ありがとう」
安心したようにため息を漏らす沙夜香。なんだか今日は、平々凡々のこいつが可愛く思える…。

◆◇◆◇

ああ、良かった。
平々凡々の智志が、なんだか今日はとってもたのもしく思える。たのもしく……。

「待ちなさいこらああああああああ!」
「うわっ!」
「智志、あんたもしかして時計塔の調査に行くつもり?」
「まあ、そうだけど」
「ダメダメダメ!」
何のために自分がここにいるのか。智志のせいで忘れかけてた。
「生徒会で取り締まってるの。こんな時間まで残ってちゃ駄目でしょ」
そういうと、智志は何か思い出したような顔をして、こう言った。
「そう。一緒に残ってた奴が生徒会に捕まって、俺一人で時計塔まで行くはめになったんだ」
さっき生徒会長は見てないって言ってたから、それは書記くんの方だ。そうだよね。智志が時計塔の調査に一人で行くなんて、有り得ない。
「だから、これは生徒会の責任なんだ。と、言うわけで、一緒についてきてください」
「は、はぁ!?」
見ると、智志の手は微かに震えていた。
智志が怖いもの好きなんて聞いたことがない。というか、苦手だろうな、双子だし。
生徒会の方はどうしよう。でも、私は待ってたのに生徒会長が来なかったんだから。書記くんも、なんか勝手に活動してるし。

そういうわけで、私は何故か取り締まるはずだった血の繋がった犯人と共に、時計塔に行く羽目になったのでした。

丘への道はもう真っ暗で、風もない静寂がいっそう気味悪さを演出していた。こんな空気、極力味わいたくないと思いながら、重い足を一歩一歩進めていく。
「で、その心霊写真を撮ってくればいいわけ?」
「ああ。馬鹿馬鹿しい」
そう思うなら付き合わなきゃいいのに。
頼まれたら断れないところも、双子っていうか。

双子の以心伝心は、決して嘘ではない。
姿かたちは似ていなくとも、日常のふとした瞬間で『あ、今私たちリンクしてる』と思える瞬間がある。それは感覚の話だから言葉にし難いんだけど、こうして好きでもない心霊スポット(仮)に引き寄せられているのも、偶然ではないだろう。
だって、年に数回一緒に登校するだけの兄弟なのだ。私の心は半分は恐怖心、もう半分は横を歩く、私にとっての確かな存在で埋められていた。

時計塔まであと少し。お互い、口を閉じたままただ足を進める。もしかして、智志も同じこと考えてるのかな。なんてったって双子だもんね。

ふと校舎を振り返ると、ほとんどの教室の明かりは落ちていた。建物は新しいはずなのに、明かりがないだけで荒んで見える。
丘の上から見てちょうどまっすぐの部屋。扉が開いてこちら側に明かりが漏れている。
あそこは…………生徒会室?

「沙夜香?」

どうして。さっき行ったときは誰もいなかったのに。

「藤野さん!」

下を見ると、生徒会長がすごい速さで丘を駆け上がってくる。手には、一冊のファイルが握られていた。

「入っちゃ駄目だ!」

時計の針は日に二度だけ正しい時刻を指す。

どこかでカチッという音が鳴った。

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